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聖なる旅 



RAINBOW TOUR  2007

セドナ  編




2007.10.21〜11.4
                                                                               

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10月29日   (Part 3)
 祝福の中で、アセンションのセレモニーも終わったことだし、一気に降りましょう〜。先頭を切って、真っ直ぐ駆け下りた。出来るだけ近道をと思っていたら、自然とブッシュの中に入ってしまった。
 おっとっと〜と思いながらも、もう足が止まらない。地面は砂地と小石状態だったので、ズサササ〜という感じで、枝と手で払いながら、木と木の間をすり抜けるように下りていた。あ〜タイヘンだ〜。でも、もう途中では止まることが出来ない。どこか開けた場所に出るまで、このまま進むしかない。
 後ろを振り返ると、さっきまで声は聞こえていたのに、いつのまにかみんなの姿は見えなくなっていた。別の道から下りているのね、良かった。私に付いて来ていたら、みんなも大変だった。このまま行けるところまで下りてから、待つことにしよう。

 ようやくブッシュから出たところで、もう一度振り返った。あれ、ちょっと待って!? 岩山と岩山の間に入っていることに気付いた。駐車場に戻るには、登って来た岩から降りないと・・・。
 それで、左の岩まで行って、何とかよじ登ろうとしたところで・・・いや登るときと反対だから、もしかして右に行かなくっちゃいけないのかな。あらあら大変。そこでまた下りて、右の岩山に向かって登るところを探しながら、ふと頂上を見上げてみた。でもどうなんだろう、本当に合っているのか、何だかわからなくなってきた。
 
 そうだ、ブッダの岩で確認しよう。確か朝日が昇る方向に、顔が向いていたのよね。今は、太陽が上にあって、こっちから昇ってきたから。んん? ちょっと待って。合掌の手があれで、顔があの岩だとしたら・・・もしかして反対を向いている!? ということは、ここは・・・! 

 一瞬、凍りつきそうになった。いや、そんなはずは・・・。そうだ、カメラの画像でみてみよう。祈るような気持ちで、撮った写真と目の前の景色を合わせてみた。それでも、立っている位置が変わると、岩の形もまるで違って見えるので、はっきりとは確信出来ない。
 もし裏側に下りていたとしたら、もう一度頂上まで登らないといけない。そうでないと、元の場所には戻れない。そ、そんな〜! 
 この時すでに、岩山の麓まで来ていた。高く聳えて見える、カセドラルロックの頂上を見上げながら、またそこまで登ることなど考えられない、いや考えたくはなかった。

 それに、もしまた違っていたりしたら・・・。もう一度引き返して登れば良いのか、それとも右の山に行けば良いのか、左なのか。行ったり来たりしながら、どうすれば良いのか混乱してきて、自分では判断が付かなくなっていた。
 どっちに行けば良いのか、正しい方向だけでも知りたい。でも、確認しようにも周りには誰の姿も見えない。何度もカメラの画像を開いてみていたら、バッテリーが切れるサインが出てきた。そこで、また余計に焦った。そのアラームサインが、今の自分の状態を表しているみたいで・・・。

 大きな岩山と木に覆われた谷底で、たった一人だった。ここで叫んでも、どこにも届きそうにない。どうしよう・・・一気に恐れと不安が押し寄せてきた。

 すでに登ったり下りたり、右に行ったり左に行ったりを繰り返していたので、身体も疲れていた。高く昇った太陽から、陽射しが強く降り注いで暑かった。背中にも汗が流れている。喉が渇いたけれど、ペットボトルの水も、もうほんの少ししか残っていない。どうすれば良いのかわからなくて、半泣き状態になっていた。

 全身の力が抜けて、心も身体も極限状態だった。一体なぜこんなことに!? ついさっき、ソーラーレインボーの祝福を受けたばかりなのに。・・・頭ではそう思いながらも、私の魂は答えに気付いていた。ただ目の前の現実から、そこまで考える余裕などなかった。

 泣き叫びそうになりながら、こんな状況になってしまったこと、その状況を作った自分、今の情けない状態の自分に腹を立てながら、座り込んでいた。
 しばらくして、鳥の鳴き声に気付いた。頭を上げると、蝶々の姿が目に入った。そしてようやく、もう一人の自分が出てきた。そうだ、ここで泣いている場合ではない。私の姿が見えないことに気付いて、みんなが心配しているかもしれない。私が戻らないと、みんなも動けないはず。何とかしないと、みんなのところに早く戻らないと・・・。
 まずは落ち着いて、冷静になることにした。どっちの方向であれ、とにかくこの谷底から出ないといけない。何とか岩山まで登れば、もっと全体が見えてくるはず。
 近くにあった松の木を抱いて、精霊たちに祈った。どうか私にパワーを与えてください。みんなのところに戻れるまでの力と勇気を、目覚めさせてください。

 そして、岩山に向かった。崖のようになっていたけれど、奥の院を思い出して、手と足を掛けるところを探しながら、少しずつ慎重によじ登っていた。そうして頂上を見上げたら、人影が見えた。(!) 思いっきり、力のある限りの大声を出して叫んだ。
 「お〜い!」 気付いてくれるまで、何度も叫んだ。そして、駐車場がどっちの方向にあるのか尋ねた。(つもり。^^) すると、「The other side」という声が返ってきた。・・・やっぱり。はあ〜っ。でも、これで方向はわかった。ようやく、自分が進むべき道がわかったのだ。
 この時の私にとって、その意味は大きかった。さっき不安と恐れの中で、パニックに陥りそうになったのは、自分がどこにいて、どうしたら良いのかがわからなくなっていたから。その方針さえ見つければ、後は全力で進めば良いだけ。

 よっしゃ〜! 心の不安が解放されたことで、肉体にもスイッチが入った気がした。・・・気力で身体を動かすのは、これまでに何度も経験させられている私。(火事場の馬鹿力ということで。^^) 
 今度は、頂上を目指して行く。とは言っても、道などない。やはり、この岩山を伝って行くしかない。そこは奥の院どころではなかった。崖になっているところを、岩伝いに進んでいかないといけない。リュックも背負っていたし、靴を脱いで裸足になることも出来ない。
 滑りそうで怖かった。ここで落ちても、きっと誰も気付かないだろうなとも思った。でもそこで頂上を見上げたら、一人の姿が見えた。こっちに向かって立っている。ここからはシルエットとしてしか見えないので、私に気付いているのかわからないけれど、誰かがそこにいる、その姿を目にしただけで心強くなった。・・・その姿は、見守ってくれている天の存在のように思えたのです。

 勇気を出して、一歩ずつ横に横にと這うように進んだ。あともう少し、あともう少しと自分に言い聞かせながら。そして、とうとう頂上の真下まで辿り着いた。あとは、ここから這い上がるだけ。ここに来るまでに、力を入れて踏ん張っていたので、足も腕も疲れていた。息も切れていて、しばらく休みたかった。でも、この間もみんなが待っていると思うと、その時間さえも勿体ないと思った。ここまで来れたのだから、ここで最後の力を出すしかない。残しておいた一口の水を飲み干して、息を整えた。気合を入れて行く!
 下りてきたのと同じように、木に覆われていた。その中に入って、枝を掻き分けるように登る。足や腕に枝が引っ掛かってくる。砂や石が、上から崩れ落ちてくる。それでも立ち止まらないで、木の幹を掴みながら、そのまま一気に這い上がっていく。すぐ上に人がいて、こっちを見下ろしているのが見えた。・・・まさにこの時の私は、谷底に落とされて這い上がっているライオンの子供と同じ状態でした。(^^)

 そして、ついに到達した! やった〜! またここに、戻ってきちゃった。(ははは) ほんとだ、反対側になっている。あの時は全く気付かなくて、何も迷うこともなく下りていた。・・・おっと、今はそんなことを考えている場合ではない。ここから、また下らないといけないのだから。ふ〜っ、やれやれ。(^^) 汗びっしょりで身体はフラフラだったけれど、何より安堵感があった。
 周囲を見渡したけれど、あの時に頂上に立っていた人の姿はなかった。・・・あの姿だけで、どれだけ心強かったことか。ありがとうございます。

 まだカメラのスイッチが入ったので、最後の写真として、登って来た谷底の崖を写しておいた。・・・写真左 この谷底の真ん中を岩山の麓まで降りて、右の岩肌を伝いながら登ってきました。改めてみると良く登れたものだと、自分でも不思議に思えたりして。(笑)
 

 この時間になると、登ってくる人もいた。日本人グループのことを尋ねたら、かなり下の方ですれ違ったと言っていた。良かった、みんなは無事に降りたのだ。ここで、つくづく私一人で良かったとも思った。(^^)
 時計を見ると、ちょうど12時を回ったところだった。みんなと別れてしまってから、一時間以上は経っていた。本来なら、ランチタイムになっている頃。ちょっと休みたいけど、そんな時間はない。もう、ここからは本当に下りるよ〜。(笑)
 再び、一気に駆け下りた。立ち止まっている暇もなく、すごい勢いで。すると、しばらくしたら岩の下が崖になっていた。あれれ〜!? 登って来たところとは違う。周囲を見渡した。何も考えずに、ひたすら駆け下りていたら、いつのまにか隣の岩山に移っていたみたい。あ〜ん、またなの〜!? その下は、またブッシュ状態になっていた。・・・それはもう、勘弁してください。(笑)
 
 さすがに、その絶壁状態の岩を降りるのは出来そうになかった。遠回りでも、もっと降りやすいところを探さないと・・・。はあ〜。もう終わったと思ったのに、まだだったのね。(^^)  もう一度気を取り直して、何とか降りれそうなところを見つけた。そこでも何度も滑り落ちそうになったけれど、もうここまで来ると、少々のことは怖くなくなっていた。(ははは) 
 トレイルの道が出てきて、登ってくる人と出会った。もうこれ以上、遠回りはしたくなかったので、駐車場の登り口を確認しようと尋ねたら、やっぱり隣の山だった。は〜い、わかりました〜。(^^;

 そこからは、トレイルに沿って隣の山に戻った。そのトレイルを出たところで、標識を見つけた。「Temple On Trail」 ・・・神殿の道ですか。それで、こっちの岩山にも来るようになっていたのね。最後の最後まで、容赦なくやって下さいます。これで表と裏に左右からと、カセドラルロック全制覇になったのでした〜。(ははは)

 そこから、駐車場らしきところも見えてきた。ふ〜っ、あともう半分ぐらいかな。さすがに、ここからはもう大丈夫でしょう。少しでも早く下りようと、岩と岩の間を滑り降りることにした。そこには、黒いラインのような模様があった。それが道しるべのように思えたので、そのラインを辿るように降りた。そして、駐車場が見えてきて、ついに到着することに。やった〜!! 

 みんなの姿も見えた。やっと帰って来れた。ついに戻れた。ただいま〜! みんなの顔を見て、一気に力が抜けて石の上に座り込んだ。喉もカラカラで、息も切れていた。
 しばらくして落ち着いてみたら、コットンのパンツの所々が破れていて、足も腕もすり傷だらけになっていた。きっと、谷底から最後に這い上がる時でしょうね。これも名誉の勲章だわ。(ははは) ブッダちゃんのTシャツも、汗でびっしょり。・・・そうでした、私のハートのところには、ブッダちゃんがいたのです。(^^)。

 去年の春に、初めてカセドラルロックを訪れたときは、レッドロッククロッシングからスタートしていた。岩の麓に来るまでに、かなりの距離を歩かされたけど、それも表玄関からということだったみたい。・・・初めてマチュピチュに入るときに、インカトレールをしたのと同じような感じ。(^^)
 あの時も、ブッダちゃんのお顔の前まで来ていた。それからの帰り道にハプニング。三人で何かに押されるような勢いで降りて、ブッシュの中に入ってしまっていた。(同じパターンだったのよね。^^) それからグルグル彷徨うことになり、次第に日が落ちてきて、どうしようかと焦ってきたところで、ようやく脱出出来ることになった。
 そうして疲れ果てて、クリークに戻ったら、柾至のペルー仲間とバッタリ! その後で、カセドラルロックが観音さまの神殿と聞いて、全ては計画通りの導きによるものだったとわかったのでした。(春のセドナ編 Page7−2

 去年のRAINBOW TOURの時は、一睡もさせてくれない状態で登らされたので、奥の院では足や腕に力が入らなかった。でも、自分の強い意思さえあれば、やり遂げられることを体験した。そのためには、最初から諦めないでチャレンジすることも大事で、信じ切ることが必要なことも。そして、ここが私たちのアセンションのための場であることがわかったのです。(セドナ編 Page10

 今回は、そこから次の段階へのアセンションということで、このような機会を与えてくれたのですね。これまでと大きく違ったのは、私一人になっていたこと。同じ状況でも、誰かと一緒だったら、互いに励まし合うことも出来て心強かったはず。でも、誰も頼る人がいない、たった一人。身体の限界と、孤独と恐怖に押し潰されそうになっていた。出来るなら向き合いたくはなかった、その弱い自分との戦いにもなっていた。
 そして、一人で取り残されていたようでも、実はたくさんの存在に見守られていたということも実感した。真上から降り注いでいた太陽、励ましてくれた鳥や蝶々たち、大地や木の精霊たちと、高次の存在たちが。
 私たちの人生と同じで、自分が進むべき道は、自分で切り開いて行かないといけない。でも、実際には一人ではないのです。そこには、多くの存在たち(他者も含めて)の見えないサポートもあるということ。だから、自分さえ諦めなければ、チャレンジする勇気さえあれば、どんなに不可能と思えるような事でも、最後には必ず達成出来る。そのことを、身をもって体験させてくれていた。

 予想外の出来事のようでも、それはもっと進化したいという、私の強い願いがあったから起こったこと。宇宙は、高次の存在たちは、その内なる声に応えて下さったのでした。おかげさまで、新しい力を目覚めさせることが出来て、自信と信頼を深めることも出来た。そうして、この体験は、私への素晴らしいギフトになったのです。
 この機会を与えてくれたハイアーセルフ、見守ってくださった観音さま、ブッダさまを始めとする多くの存在たちに、心から感謝しています☆