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聖なる旅


神々の島 済州島 編

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2003.11.9〜11.11

11月 11日

 今日は最後の日。チェックアウトをしようと、フロントに行って目がまん丸! カウンターの後ろの壁に、大きな絵が飾られていた。よく見たら、その絵は白鷺だったのだ! 金色の背景に、白鷺の群れが飛び立っている絵。チェックインは、ガイドさんがしてくれていたので、この時初めて気が付いた。この旅行は、ホテルとパックのフリープランだったので、通常はホテルの指定までは出来ないのだが、何となくこのホテルが気になってリクエストしていた。龍頭岩の近くでもあり、Eマートも近くて便利だったし(^^)、ボーリング場が付いていたので柾至も遊べた。実際に来て、わかったことばかり。でも、まさか白鷺さん繋がりだったなんてね。感激です〜☆

季さんを待っている間、柾至とトランプで盛り上がっていた。8時に出発。最後なので、朝食はお店で食べようと思ったら、まだ開いていなかった。途中で、季さんお薦めのパン屋さんに寄ってくれた。ここもまだオープン前だったけれど、知り合いのお店なので入れてもらった。麦のパンが身体にも良くて、とにかくおいしいと薦めてくれた。そこで、麦入りのカップケーキタイプのパンなど、いくつか買ってみた。(後で食べたら、本当においしかった〜。) 

 まず最初に、万丈窟(マンジャングル)へ。開館になったばかりの9時に入ったので、私たちが一番乗り。日本語のガイドさんが、中を案内してくれた。延長13,422mの世界最長の溶岩洞で、天然記念物に指定されている。溶岩洞窟というのは、火山が噴出するとき土の中に深く隠れていた溶岩が火口から噴出し、地表に流れてできたもの。観光客に公開されているのは石柱がある約1km。洞窟というと、大抵は天井も低くて狭い。それが、万丈窟はとにかく広いのだ。天井の高さは2mから30m、幅は2m〜20mぐらいある。この頃には、溶岩の上を歩くのにもすっかり慣れているし、足から火山のエネルギーが伝わってくるようで、気持ち良い。溶岩が流れて岩が積み重なっていて、まるで隠された神殿の中にいるようでワクワクする〜♪ しかも、この広い洞窟は私達だけなのだ。この洞窟には、二つの素晴らしい岩があるという。その一つが大きな亀岩。この岩は千年の寿命をまっとうした亀がそのまま固まったような形をしている。これも自然の彫刻作品。亀さん、またここでも会ったね。頭を撫で撫で。きっと、この島を守ってくれているんだね。よしよし、ご苦労さま☆


 つき当たりに、最大(7m)の溶岩柱があった。まるで母が子供を抱いているかのように見えることから、「愛の岩」と呼ばれているらしい。(なんて素敵♪) ライトアップされて映し出された姿は、幻想的で美しい。(写真では、よくお見せ出来ないのが残念) 大自然が表す愛の象徴という感じ。 しばらくうっとりと眺めていた。
 そこから折り返して戻る頃には、カップルや団体さん達が入ってきた。早く入って正解ね。


 ここで、お食事タイム。 万丈窟では、運動不足解消に早歩き(岩の上を往復2kmで40分)したので、すっかりお腹もペコペコ。お待ちかね、済州島名物のアワビ粥! 市内のお店でも食べれるけれど、一番おいしい採れ立てを、そのまま出してくれるお店へ連れて行ってくれた。普通は、注文してから25分ぐらいかかるそうだが、事前に予約してくれていた。(季さん気が利く〜) ここも食事時は満員なのに、時間がずれているので、また私達の貸切状態。アワビの身がごろごろ入って、エキスがしっかりしみ込んだアツアツのお粥。わ〜、しあわせ〜♪ 今度は、よもぎのチジミも付いている。(付け合わせだけで、10種類近くある)柾至がチジミを気に入っているのを知っている季さんは、素早く次々にお替りを頼んでくれて、また3皿登場。他にもさつまいもの天ぷらやキムチ、食べ終わった柾至には、さらにお粥のお替りまで出してくれた。私達がおいしそうに食べるのを喜んでいるみたい。(^^) アワビは済州島でも高級食材なのに、何とこのお店では二人で約1900円だった! (あとは全部サービスだったのかな。) わ〜感激。

 海岸線をドライブ。海がキラキラ光っている。お花に囲まれた、可愛い海女さんの像もあった。牛島が見えてきた。済州島の周辺には、多くの島が散在している。中でも牛島は、韓国では唯一珊瑚の砂浜が広がる島で、牛島八景としても有名だそうだ。今度来たときは、是非行ってみたい。

 さて、いよいよ城山日出峰へ。済州島の東端に大きな城のように突き出した岩の塊のような山。海抜182mで、10万年前に海底噴火によってできた火山だという。ここから眺める日の出は、この上なく荘厳で、年越しの夜からは初日の出を迎える盛大なお祭りがあるそうだ。ここは、ガイドブックを見てピンと来たところだった。坂を登って、まずは展望台へ。どこまでも広がる青い海、絶壁に打ち寄せる波。この日は、一段と風が強く、私たちも飛ばされそうになるくらい。帽子が飛びそうになって、慌てて押さえようとしたら、ヒモが耳にひっかかった。あ〜っ! ピアスがない!! 留め金だけが残っていて、肝心のピアスが・・・。 そんな〜、うそでしょう! 何しろ、これだけの強い風、おまけに崖になっている。それも小さな小さなピアス。でも、ただのピアスではない。私が数年前に縁あって手にした、エイトスターのピアスだった。大抵のものは諦めがつくけれど、片方だけ無くなるというのは・・・。ここで見つけるのは不可能だとわかっていながらも、地面を必死で探していた。そして考えていた。これもあっさりと諦めるべき? 何か代わりにものがくるってこと? そう考えながらも、どこかで違うと思っていた。この絶対不可能と思われる場所で、もし見つかったりしたら、それは逆に凄いことになる。もし、何かの意味があるのなら、私にそのミラクルを見せてください! そう心の中で叫んだ。その数秒後・・・「もしかして、これ?」と季さんの声。えっ、まさか! 自分の目を疑った。紛れもなく、私のエイトスターのピアスだった。信じられない、本当に見つかるなんて! しかも、それは私が探していたところの反対側、つまり風の向きとは逆方向の大きな岩の上にあったのだ。私には神の御業としか思えない出来事だった。

 実は、これにはまだ続きがあった。帰ってから、パソコンに写真のデータを送りながら、この時のことを思い出していた。この日は11月11日だった。すぐに浮かぶのは、2年前の同じ日に初めて天拝山に来たこと。11月11日11時11分に、池の上の舞台で始まるコンサートのためだった。去年のこの日には、感謝の気持ちを込めて天拝山に登っていた。そして、頂上に着いて、ダブルレインボーを見たのが偶然にも11時11分だったことに気づいたのだ。そんなことを思い出していて、はっと気づいて写真の時間をチェックしたら・・・ 何と展望台で撮った写真が11時11分になっていた! わ〜わ〜、凄すぎる〜。しばらく呆然としてしまった。宇宙がすることは、完全で完璧。 私たち人間が、どうあがいたって叶わないの。それならば両手を広げてサレンダーして、全てを宇宙の愛に委ねましょう。 私はこれからも信頼して、素直に導きに従いま〜す ☆

 頂上まで石段を登って、40分ぐらいかかるというので、季さんにはお休みしてもらって、私と柾至で登ることに。その途中で、様々な形をした奇岩が次々に現れてきた。精霊の顔のようなものから、穴が開いて何かが噴出してきそうな岩など、どれも神秘的で素晴らしい。私は中でも、女性の顔を現したような岩に惹かれた。海と火山の両方を守っている女神のように思えた。(写真下・左) 会えてうれしいです。ここに呼んでくれて、ありがとうございます♪






これも横顔に見えるでしょう

 ピアス事件で目覚めて、パワー百倍になったせいか、思ったよりもラクラクで頂上に着いた。噴火口は約3万坪に広がった草原になっている。周囲には99個の尖った奇岩が縁取っている。これを上空から見ると、巨大な王冠のように見えるそうだ。 バンザーイ、バンザーイ! 言葉がわからないのを良いことに、思いっきり叫びたくなっていた。(笑) 噴火口に向って、塩を撒き、五十鈴と土笛を吹いた。雲の隙間から太陽が顔を出し、光のカーテンが降りているようだった。




 石段を降りながら、柾至とジャンケンゲーム。(お馴染みのグリコ・パイナツプル・・・) 小さい頃は良くやっていた。(何年振りかしら^^) 負けたほうが、アイスクリームをおごることになっていたので、周りの注目を浴びながらも、二人で結構盛り上がった。(笑)  結果は私の優勝!! でも、ここは貸しにしておきましょう。(^^)
 売店で蒸しパンとアイスでひと息。木をコテで焼き付けたお土産品が売られていた。珍しいキリストやマリア様のものまである。そこで、一つだけ龍頭岩のものを見つけた。(あら、ピッタリ!) 夕日をバックにして、なかなか素敵。記念に今日の日付も入れてくれた。
 
 季さんが、甘くておいしいみかん畑があると言って、連れて行ってくれた。「食べて、食べて」と色鮮やかに、たわわに実った木から、もぎ取って渡してくれた。「ほんと、あま〜い!」 愛媛出身(みかんの産地です)の私も感激するほどの甘さ。皮をむくと、今にもはちきれそうなほど、ピチピチしている。「もっと食べて。」と、どんどん取っては渡してくれる。おまけに、畑のおばさんからは、入場料も何も払ってないというのに、袋いっぱいにお土産までもらったりして・・・。(季さんの知り合いだったのかな) 車の中でも、一杯食べちゃった♪

 続いて、民俗村へ。済州には二つの民俗村がある。今回は、城邑民俗村(ソヌプミンソクマウル)に行くことにした。済州の昔ながらの村の形が、そのまま維持されているため国重要民俗資料と指定、保護されている。文化遺産が原形のまま保存され、今も受け継がれている代表的な民俗村である。村の中央にある数百年になるケヤキとエノキは天然記念物にもなっている。そこに、日本語で案内してくれるおばさんを紹介してくれた。入り口には、3つの穴のあいた石が門の代わりになっていて、棒のかけ方によって留守かどうかの合図になっているそうだ。二つのドルハルバルンがあり、手の位置がどちらが上かによって、先生か武士かに分かれるそうだ。最初に村にやってきた、おばあさんの像があった。(写真左) 身体の悪いところを擦ると、痛みが取れるらしい。このおばあさんは、とってもリアルで存在感があった。「この村をいつも見守ってくれているのね、ご苦労さま。」 全身撫で撫で。(^^) 家の中の寝室や台所も見せてくれた。(写真下・右) ペルーの村のお家も、こんな感じだったな。一通り案内してもらって、五味子茶というのを飲ませてもらった。これはガイドブックにも紹介されていたので、スーパーで探したけど売ってなかったのだ。漢拏山でだけ自生する黒五味子という植物があり、普通の五味子の実は赤くて小さいが、漢拏山の五味子は実が大きくて黒い。咳や喉、気管支に特に効くそうだ。ハチミツのような感じで、五味子の実が入っていた。サボテンのハチミツは、特に目の疲れにも良いらしい。珍しいので買ってみた。二つともお湯に溶かして飲むと、おいしい。これからの季節には、ホットドリンクとして良さそう。昨日買ったキジ飴は、身体が弱っているときにも良いとのこと。


 売店には、ガル服とかカロッと呼ばれる服があった。カロッ(褐衣)は済州島にもともと自生している山柿がまだ青いうちにその渋を利用して染色した済州独特の染めもの。柿の液は布を丈夫にし、傷まないよう防腐剤の機能もする。帽子やバッグなどの小物から、アンサンブル、ワンピースなどがあった。水洗いすれば色は落ちないが、石鹸で洗うと、ほのかに紫がかった色になり、柔らかくなるそうだ。いいかも〜! そこで、ジャケット代わりにもなりそうなブラウスとスカート、パンツを買った。柾至は、そこで皮の財布を見つけた。それが、何と馬の皮だった。しっかりした仕立てで私が欲しいくらい。(^^) 馬の皮と聞いて、ますます欲しいという柾至。これも日本で買うと、一桁違いそうな値段だったので、結局買うことに。「大事にしてね。いらなくなったら私が使うから。(笑)」 本物を持てば、物を大事にするようになるかもね。 もう一つ目に止まったのは、カメさんの形をした玉石。玉石は、いろいろな色があるようだ。その中でも、ピンクがかったものと、白に縞模様が入ったものが気に入った。玉石は、家におけば守ってくれるそうで、ペアで二つ持つと特に縁起が良いとのこと。いろいろ買ったので、一つおまけしてくれた。今回の旅では、カメさんがあちらこちらで登場してくれていたので、最後にお家にも連れて帰れることになって良かった。 カメさんも、みんなの仲間入りしたかったのかな。(わが家には、鳥さんを始め、お魚に蝶々などたくさんの仲間がいるからね。^^) これからも、よろしくね。

 そして最後に、サングムブリに行った。漢拏山・城山日出峰に続く噴火口になっている。周囲が2kmを超える天然記念物に指定されている。済州島唯一の山の頂ではなく平地にある噴火口で、どんな豪雨にも水溜りができないという、世界にも珍しい形だそうだ。また420種余の植物が自生している巨大な自然植物園でもある。確かに、あとの二つとはまた違った趣だった。この時期は、辺り一面がススキ野原になっていた。雄大な野原に、ススキが波打っている景色は素晴らしかった。冬は一面雪景色になるそうだ。 
 風で冷えた身体を暖めようと、お店に入ったら、そこにビン餅が! ビン餅というのは、クレープのように蕎麦粉を薄くのばした餅に、千切りの大根をくるんだもの。お祝いや祭祀の時に出される済州島の伝統的な餅。これもガイドブックに載っていたので、季さんに聞いたところ、普通のお店では手に入りにくいと言っていた。それが、このお店で作って出していたのだ。しょうゆに付けながら食べる、あっさりした味でおいしかった。気になっていたので、ここで口に出来て満足♪


 市内に戻り、最後のお食事。(淋しい・・・^^) 済州で代表的なお魚は、赤甘鯛とタチウオ。そこで、半乾燥の干し魚にして焼いた赤甘鯛と、タチウオとかぼちゃのスープを注文。赤甘鯛は甘くておいしかったし、スープはあっさり風味だった。それに、イカの味噌炒めもオーダーしてみた。これが大ヒット。新鮮なイカは柔らかくて、それに味噌味がしっかりしみこんでいて、おいしかった〜。韓国料理サイコー♪ それに、韓国料理って、医食同源に基いていて、とってもヘルシーだったことを、しっかり認識した。

 空港に行く前に、韓国食品のお店でガイドさんと合流。最後のショッピング。お土産に高麗人参の紅茶(おじいちゃんに)やおこげの飴(素朴な懐かしい味)、コチジャン(ただいま大活躍)などを買った。
 
 二泊三日の短い旅だったけれど、盛りだくさんでとっても充実していたので、もっと長く過ごしたように感じた。初めての韓国。今まで縁がないと思っていたけれど、良く考えたらカナダにいた時に、20歳ぐらいの韓国人の女の子が、私を姉のように慕ってくれていて、留学に来た友達をしばらくの間、わが家でホームステイさせたこともあった。済州島は、初めてとは思えないくらい、懐かしい感じもした。 もう一つの魂のふる里が見つかった。 この次は、ツツジの咲く春に来ようかな。 その日まで、待っててね ☆

 ” 120万年〜70万年前、溶岩噴出によって50万年の間ゆっくりと海の上に盛り上がってきた。外部からの影響をあまり受けなかった済州島は、太古の姿をそのまま残し、青い海に浮かんでいる。したがって、済州の地を踏むことは太古の時間へ遡っていくことを意味する。 ”