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聖なる旅


神々の島 済州島 編

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2003.11.9〜11.11

11月 10日
 今日と明日は、季(リー)さんのタクシーにお世話になる。50代ぐらいの温厚そうな人。走りながら、いろいろお話してくれた。済州島の特長は、まず石が多いこと。
 
 ” 済州民の一生は石にはじまり石に終わるといっても過言ではない。守護の神、ドルハルバンの護衛下で、石壁を積み上げ建てた家で暮らし、人生の恨みつらみや悲しみを石の堂神像にぶつけながら生きていく。畑の周りにも石垣を作ってその畑で取れた穀物を食べながら毎日を送り、死ぬと山に造られた石垣の墓に埋められる。 ”
                                   
 次に、風が強いことと女性が多いこと。そして、工場がないので空気が澄んでいる。だから、みんな元気で病気にならないので、病院も少ないし、あまり必要とされていないそうだ。(いいな、いいなあ〜)
 まず最初に、神秘道路を案内してくれた。別名トッケビ(お化け)道路と呼ばれている。どう見ても上り坂なのに、実際には下りになっているという。坂の真ん中で車のエンジンを止めると、あらあら不思議。下り坂と思っていたら、車がスルスルとバックして行く。今度は反対側から試してみる。またしても同じ。目の錯覚だそうだけど、それでもやっぱり不思議でした〜。(写真左・下りに見えるでしょ?)
 漢拏山(ハルラサン)が見えてきた。漢拏山は標高1950m、韓国で最も高い山で、30万年〜10万年前に噴出した溶岩によって作られた山。一年を通して素晴らしい大自然を魅せてくれ、世界で絶滅の危機に瀕している珍しい植物の楽園でもある。季さんは昨日、朝早くから漢拏山に登って案内していたそうだ。今度来たときは、絶対に登ろう! その時はよろしくね。麓から、山の精霊にご挨拶 ♪

 次は、いよいよ滝めぐり。まず最初は、正房(ジョンバン)瀑布 。海に直接流れ込むアジア唯一の海岸瀑布で、高さ23m、幅8mにも達している。豪快な滝の音。海と一体になっている。そして、その周囲には溶岩。全ての自然が溶け合っている感じ。海では海女さんの姿も見える。溶岩で造られたカメさん発見。口から水が出るようになっていた。何気に椿の花が置かれていて、愛嬌のあるお顔が、ますます愛らしくみえる。(椿の精霊さんと仲良しなのかな) 思わずヨシヨシと頭を撫でちゃった。(^^)
 

 続いては、天地淵瀑布(チョンジヨンポッポ)。天と地が出会ったためにできた池ということから天地淵と呼ばれているらしい。(その話を聞いて、とても楽しみにしていた) 入り口の大きなドルハルバルンを撫で撫でして挨拶した後、暖帯林の茂った森林の中を、きれいに整備された散策路に沿って歩いて行く。 奇岩絶壁の天井から落ちてくる真っ白な水柱もさることながら、澄み切った池の水と空気の清々しさに感動。天と地が出会う場所というのもわかる気がした。

 
 この時間になると、観光客でいっぱい。それもカップルが目立つ。それもそのはず、済州島はアジアのハワイとも呼ばれていて、ハネムーンのメッカになっているそうだ。どこを見渡しても、若いラブラブのカップルばかり。しかも堂々とペアルックを着て、ハートマークが飛び交ってました。(アツアツ ^^) 
 それでも、ここで土笛が吹きたいと思い、木陰から池に向かって吹いた。鳥がたくさん鳴いていた。そこに白い鳥が羽を広げて飛んでいく姿が見えた。「あっ、見えた。」と池の中を指差す季さん。この池には天然記念物に指定された大ウナギが棲息しているらしい。 「ラッキーですよ〜」と季さん。夏はたくさん見えるのだが、この時期はほとんど姿を見せないという。(池の深さが20mある) それが、私達の前に姿を現した。1m40cmぐらいあるそうだ!(確かに大きかった)  朝から曇っていて小雨が降っていたが、その雨の中で太陽がパーッと顔を見せた。周りの景色も一気に輝き始めた。(さすが、天地淵!) 
 来る時は気が付かなかったが、橋の下の鯉・カメ・鳥・カモの像が目に止まった。橋を渡りながら、三福を象徴する動物たちに、願いごとをしながらコインを投げると、三つの福が授かると言われているそうだ。先に歩いていた柾至を呼び戻して、お祈りをしながら投げた。すると、私の投げたコインは音を立てて鯉に当たり、柾至はカメに当たった。わ〜、ラッキー! これで、願い事は確実に叶うと約束してくれたように感じた。 ありがとうございま〜す♪ 橋の反対側には、灰色がかったきれいな鳥が止まっていた。堂々として気品があって、思わず惹き付けられた。「あそこにもいるよ。」 その奥には白い鳥が! もしかして白鷺の一種かな!? さっき土笛を吹いたときに、目の前を飛んでいった鳥だ。先に行って待っていてくれたのかな。鳥たちは精霊のお使いとして表れてくれるけれど、なかでも白鷺は神様のお使いのように感じていた。ここにも来てくれたのね。うれしいな。白鷺の周りには、光が降り注いでいた。
 その後から雨は上がり、青空が広がり始めた。雨の雫に太陽の光が反射してキラキラしている。






 そのあと、ワールドカップスタジアムに寄った。ドーム全体は済州島の自然と伝統文化を造形化しているそうだ。済州民が自然を敬っているのが良くわかる。(私達日本人も見習わなくっちゃね。) ランチは、季さんお薦めのキジしゃぶを食べてみることに。この時期のキジは一年の中でも最高とされ、高蛋白でヘルシーでもあり、滋養強壮にも良いそうだ。普段はあまり肉を食べないので、しゃぶしゃぶ料理も久しぶり。柔らかくて、あっさりとした味で食べやすい。お野菜や細めのうどんも入れてお鍋にした後は、最後にご飯と卵を入れて雑炊にしてくれた。そこに岩海苔がたっぷり入って、おいしかった〜♪ もちろん、お決まりのキムチやナムルもいっぱ〜い。

 滝めぐりの最後は、 「神の蓮池」という意味を持つ天帝淵 瀑布。三段の滝があり、第一の滝からは岩洞窟に流れ込んでいる。紺碧色の水の美しさには、ただため息。そこから奥に「仙臨僑(七人の仙女を彫刻したアーチ型の橋)」が見える。渓谷の中を歩きながら、第二の滝を巡り、天女の待つ仙臨僑へ。済州島に来ようと思った、もう一つのきっかけは七天女伝説があると聞いたからだった。かなり前から、天女との縁を感じていた。だから会いたかった。神様に仕える七人の天女が夜になると舞い降りてきて、こっそり水を浴びたり、水遊びをしたりした後、昇っていくという。それで「神の池」とも呼ばれているそうだ。128mの仙臨僑に描かれた美しい7人の天女たち。会いたかったで〜す♪ うれしくて手を振る、相変わらず怪しい私なのでした。(笑) 橋の欄干にも、天女たちの姿が彫られていて、天帝楼前の広場には、虹の下で音を奏でながら、水浴びをする天女たちの図が描かれていた。同じく広場には、カメの甲羅の中に入った動物たちの「五福川」という彫刻像もあった。 水が噴出して福と描かれた福袋の中に、コインを投げて入ったら、今度は五つの福が得られるそうだ。柾至は、残念ながら2回ともはずれてしまったけれど、私は1回で見事に入ってしまった。 またまたラッキー! でも、うそみたい。 さっきのと合わせると、8つの福かしら♪ (るんるん) ここは素直に受け取りましょう。(^^)  天女たち、ありがとうございま〜す☆


第三の滝もキラキラ

本当に生きているみたい

私の福も分けてあげるからね

楽しそう、仲間に入れてほしいな♪

 お次は、中文・大浦海岸柱状節理帯。柱状節理とは、マグマが地上に露出し、冷める時に現れる収縮現象により作られるもの。ここは済州の指定文化財になっていて、漢拏山から噴出する溶岩が中文の前の海に流れ込んで形成され、大小の四角形や六角の石柱(30m)からできている。波と嵐をもってつくりだした神の彫刻品とも言われている。これが自然の力。自然の神秘。そして、自然が作り出した見事なアート。絶壁にぶつかる波の音が、私達の魂を呼び覚ます・・・。


 済州島は、みかんの産地としても有名。この周辺でも、あちらこちらで、おばさんたちが座って売っていた。さすがに甘くておいしかったので、柾至も私もいっぱい食べちゃった。季さんも、毎日たくさん食べているそうだ。
 続いて、映画「シュリ」で有名になった丘へ。場所は、中文新羅ホテルの庭。今では、「シュリの丘」と呼ばれるようになった。弓のような形の海岸を一望出来る。ここは以前から注目を浴びていた場所らしく、丘の向こう側ではクリントン氏と橋本龍太郎氏の記者会見が行われたり、ゴルバチョフが散歩した場所としても有名だそうだ。
 また私達だけになった。映画のラストシーンのように、ベンチに腰掛けて土笛を吹きながら、しばらく海を眺めていた。正面の空に一直線に並んだ雲。8頭の龍が並んでいるようにも見えた。


 龍の頭が海に入るような形になっている龍王海岸の後方には、山房山があり、その麓にお寺があった。そのお寺には、龍頭観音と名付けられている二つの観音像があった。ここでも会えるなんて、うれしいな。慈悲深い優しい目で、温かく包んでくれる観音様。いつもありがとうございます☆  御堂の中に入って、お祈りしていたら、強い風が吹いたのか、突然バタンと大きな音がして扉が閉まった。

 最後に、そこから30分ぐらいのところにある水月峰へ。(名前も素敵^^) 済州の西端にあたる峰。さすがに、ここまでは新婚カップルも来ないみたいで、私達だけだった。ここも私のリクエスト。この峰には悲しい伝説があり、絶壁に湧き出る泉は、その涙だといわれている。あちこちに穴が空いていて、水が湧き出している。龍の口から流れる水をすくって飲んだ。海岸には神秘的な岩。時折強く吹く風の音と波しぶき。あとは鳥の鳴き声だけ。静かだった。海に向って塩を撒き、土笛を吹いた。気持ち良かった〜。ここに来れたことが、うれしくてうれしくて・・・。思わず両手を広げて、バンザーイしたくなったほど。(笑) 目の前を大きな雲の塊が、ゆっくりと動いていく。自然の息吹を感じる。生きていること、生かされていることへの感謝と、生命の素晴らしさを身体いっぱいに感じていた。また、ここに帰ってきたい。
 柾至は、きれいな貝殻や石を拾い、その中で見つけた二つの珍しい形のものは、珊瑚だと季さんが教えてくれた。「息子さんはラッキーですね。」 良かったね。海からのギフトだよ。
 車に乗ってしばらくしたところで、雨がザーザー降りだした。は〜い、今日はこれでおしまいです。




  町に戻って、あるお土産屋さんに寄って、玉石のストラップを見つけて買った。幸運と豊かさのシンボルでもあるという豚さんの形に、虹色の模様が入っていた。お土産に色違いのものを買った。

 夕食は、季さんお薦めのレストランへ。トゥッペギ料理ではNO.1という「ソウルトゥッペギ」というお店。トゥッペギとは、味噌で煮込んだスープ。その中でも海鮮のヘムルトゥッペギが食べてみたかったのだ。エビ・ウニ・アサリなど海の幸がいっぱい。トコブシと呼ばれる大きな貝が、特においしかったな〜。本当はかなり辛いそうだが、リクエストして辛味を抑えてもらったので、ちょうど良かった。アツアツで、これはもうたまらないおいしさで大ヒット♪ いつもは2階までギッシリだそうだけど、少し早めの時間だったので、私達の貸切状態。付け合わせに、オリジナルのチジミもあった。昨日食べたのとは、また違ったキムチ風味で、しかもふっくらしたモチモチタイプ。柾至も気に入って、食べ終わったのを見て、季さんがリクエストして、お替りを持ってきてくれた。普段は出していないという岩海苔も大サービスで、束で出してくれて、なくなったらまたお替りを。あまりのおいしさに、結局チジミだけでも二人で3皿食べちゃいました。(^^) 柾至は、食欲旺盛でご飯もお替り。卵まで付けてくれて、それもまたお替りを持ってきてくれたりして・・・。(^^; サービス満点で感激。これも季さんの良く知っている店だったからかもね。(日本語は全く通じないみたいだったから) 韓国料理って、お腹一杯食べても、お腹の中にはたまらないみたい。普通なら、これだけ食べてしまうと、お腹が張って苦しくなったりしそうだけれど、それがほとんどなかった。消化も良いみたいだし、身体の中もバーニング状態なのか、まさに火山のように身体の奥から沸々とパワーが漲ってくる感じ。それに、キムチを食べても臭いが残っている気がしない。(昔、日本で食べたときは次の日まで口の中に残っている感じだったのに。)やっぱり本物は違うのかしらね。あれだけ食べて、何と二人で1600円ぐらいだった!! 信じられな〜い。私たちのベストヒットにしちゃおう!

 その後ホテルに戻って、柾至はホテル内のボーリングで遊ぶことにして、私は韓国サウナを体験してみることにした。いろいろある中、「新羅男女火汗蒸幕サウナ」へ。日本語が通じないと困るので、ホテルのフロントから電話してもらった。すると、ホテルまで迎えに来てくれた。(ラッキー♪) ここは5階建てのビルになっていて、全館がサウナやマッサージルームになっているそうだ。日本語のメニューもあって助かった。私はアカスリを除いたコースにした。言葉がわからないので、スタッフの一人が付いて案内してくれた。シャワーの後に、ドーム形のサウナに入った。この熱さは、スエットロッジを思い出すな。汗が出てきたところで、初体験のよもぎ蒸しへ。これはガイドさんも最初に薦めてくれていた。首から下をすっぽり包んで、下からはよもぎを入れたスチームを焚いている。熱くなったら、時々風を入れたり、足を椅子の上にあげたりして調節する。約30分ぐらい入っていると、腰からじんわり温まって、汗がじわーっと噴出して気持ち良かった。これは女性専用で、子宮の病気にも効果があるそうだ。再びシャワーを浴びた後は、マッサージ。全身指圧で、これも気持ち良かった。約2時間のコースで、6700円ほど。 これもお得ですね。帰りに、もう一度Eマートに寄ってショッピング。11時近くで閉店間際だったので、例のパン屋さんも片づけ始めていた。昨日買った栗とクルミのパンが、すご〜くおいしかったので、また買いたかったのだ。(栗の粒がいっぱいで、甘味もほどほどで日本のパンとは違う食感。緑豆のパンもモチモチして最高) でも売り切れていて残念。代わりに、柾至が気に入っていたサクサクのパイを買った。他にはキジ飴(済州だけの民俗食品で、栄養補給の健康食品として人気がある)や、松の実やクルミ、ナッツや麦などを炒った飲み物があったので買ってみた。(自然の甘味でおいしかった。気に入って毎日飲んでます。) 
 柾至も、貸切状態のボーリング場で、楽しんだ様子。 と〜っても中身の濃い、充実した一日でした〜☆