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聖なる旅


 カナディアンロッキー編


            
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2005.7.26〜8.7
                          

 7月30日
 4時頃に目が覚めた。昨日のことが、頭に浮かんでいた。(反省!) 準備をして、朝食を済ませて出発。最初の予定では、このロッジに2泊するつもりだった。地図やガイドブックの走行距離を参考にして、大体の到着時間を想定していた。それが、出発日から予想以上にスムーズに走れ、このペースなら1日繰り上げても周れると思い、Clear Waterを出発する時に連絡して、1日分をキャンセルしておいたのだ。それは大正解だった。予想通りにジャスパーには、お昼過ぎに着き(時差まで考えてなかったけど、それでも早かった)、今日の午後周るつもりだったマリーンレイク周辺を、半日で全部クリアすることが出来ていた。そのおかげで、宿泊代も浮いた。ここは、今回泊まるホテルで一番高かった。部屋数も多いし、外からの雰囲気は良いけれど、室内は古いまま。昨日のモーテルのほうが、見晴らしは良いし広くて清潔で、ずっと良かった。(&料金は2.5倍!) バンフ周辺も同じで、観光地だから仕方がない。(ハイシーズン料金になるから) その代わりに、このロッジはハイウエイを降りてすぐに出てくるという、便利なロケーションだったので、その意味で私たちには良かったのです。(^^)
 朝方はさすがに肌寒いけれど、空気が澄んでいて気持ち良〜い。(お目目もパッチリ) トランクに詰め込む間、珍しい色の鳥さんが現れ、周りをぐるぐるとお散歩していた。(お見送りに来てくれたみたい。^^)
 さあ、バンフに向けて出発。バンフへの道は、アイスフィールド・パークウェイと呼ばれ、カナディアンロッキー観光のゴールデンルートと言われている。ロッキー山脈の峰々に平行して通っているので、美しい湖や氷河を眺めながら走れる。(公共の交通機関がないので、車でしか行けない。) バンフまでは、約300kmの道のりだが、その途中にある見所を周りながら向かう。

 まず最初に、マウントイディス・キャベルへ。ハイウエイから旧道に入って、約45分ほどの山道を走る。山を登ったり、下りたり。ほとんど車が走ってなかったので、この道で合っているのか、途中で心配になって、一度引き返してみたことも。でも他に、それらしい道はなかった。そのうち、何台か車が来るようになった。台形の大きな山が姿を現し始め、しばらくして駐車場に到着。(山奥でも、駐車場は広くて整備されている。) 
 山のすぐ麓まで行けるトレイルがあった。イディス・キャベル山は、ネイティヴ達からホワイトゴーストと呼ばれている山で、ジャスパーの象徴となる名峰。昨日のボートクルーズでも一際目立ち、威容の輝きを放っていた山だった。ジャスパーを出る前に、ちゃんとご挨拶しておかないとね。(^^)

 整備されて歩きやすいトレイルだった。15分ほど歩いたところで、見えてきたのがエンジェル氷河。あ〜、これが! 断崖絶壁に挟まれるように出来ている氷河が、羽を広げた天使のように見えることから、そう呼ばれている。そう、私はこのエンジェルに会いたくて、山奥までやって来たのだ。
 当たり前だけど、写真とは全然スケールが違う。(立体的ですから。^^) 何て大きなエンジェル。そして美しい。時折射し込む太陽の光があたると、キラキラ光ってクリスタルのように見える。しばらく見つめながら、光を送らせて頂いた。・・・この美しい自然を、これからも守ってくださいね。そして、私にも、そのお手伝いをさせて下さい☆


 その先には、氷河から流れ出す氷河湖が見えていた。トレイルは、まだまだ続くようだったが、私たちはMeadowを少し歩いた後、戻ることにした。「先に戻っていいよ、後で追いつくから。」と、柾至はビデオカメラを片手に持ったまま、一人で岩肌を登って行った。あっというまに姿が見えなくなった。道になっていない崖を登って行ったので、どこに行ってしまったのかと彼は心配していた。エンジェルちゃんの目の前なんだから、大丈夫に決まってるじゃないと思いつつ、あまりに彼が心配するので、私も探したほうが良いかなと思い始めた頃、やっと小さく姿が見えた。まあ、あんなところまで! 大きな岩山の上にいて、岩の上を降りてきている。さすがに私も、ハラハラした。(危険だから真似しないように。^^) 「凄くきれいだったよ〜。面白かった〜。」と満足気味。やはり男の子。冒険がしたかったみたい。(^^) 奥まで行かない私たちの代わりに、岩を登って近道をして、カメラに収めてくれたのでした。(写真下右)


 1時間ほどの良いウォーキングになっていた。トレイルの途中では、鳥さんがお散歩に現れ、面白い小動物も出てきた。リスとハムスターをミックスしたような小さな動物で、岩の間をさっと掛け抜けて行き、しばらくしたら口に草を一杯入れて、また戻ってきた。お家を作っているのかしら。(働き者だ〜) その姿が可愛くて、写真に収めたかったが、とにかく動きが早いので、目で追うのがやっとだった。そうそう、出発した1日目には、道路脇に小さなアライグマが出てきて、私たちに立って姿を見せた後、ササッと穴の中にもぐって行ったのです。それも可愛かった〜♪ 大自然の中で生きている、野生の動物たちを見ると、心が安らぎますね。(アマゾンを思い出します。^^)

 トレイルを戻る頃には、入れ違いに次々と入ってきて(みなさん本格的なトレッキングの装備)、ガラガラだった広い駐車場は、ほとんど満杯状態に。 私たちは、いい時間に来れていたみたい。
 イディス・キャベル山に別れを告げ、再び山道を戻ってハイウエイへ。しばらく走ったところのBeauty Creek で休憩。少し降りてみたら、きれいな川が流れていた。川の色が乳白色のミルキー色。冷たいけど、ちょっとぬるっとして温泉みたいな感触。何だかきれいになりそう。(^^) ハイウエイに沿って、道路脇には白やピンク色の高山植物が咲いていて、目を楽しませてくれた。

 この頃になって、給油をしていなかったことに気付いた。いつのまにか3分の1ぐらいになっていた。ジャスパーに来るまでは、早目に給油するように気を付けていたのに、二人ともうっかりしていた。まだ半分はあるとと思ったけれど、さっきの山道でかなり減ったようだ。次に降りるアサバスカ滝で、GSの場所を確認してみよう。
 駐車場で尋ねてみると、この先は当分出てこないから、ジャスパーに戻るしかないとのこと。ひえ〜っ! (ジャスパーまで150kmと言われた。) それをもう一度戻るだなんて。そんな〜、何とかならないのかしら。ショックだったけれど、まずは気を取り直そうと、先に滝を観に行くことに。(ははは)
 
 滝の音が、すでに響いている。近づいて、思わず立ち尽くした。豪流のアサバスカ川から流れ落ち、水煙が周囲に立ち上がっている。お〜っ! これはまた凄いよ〜。ガイドブックには、怒涛の迫力とあったが、まさにそう。(ドドド〜ンと地響き) 水しぶきがかかり、ナイアガラの滝を目の前で見ている感じだった。落差は30mだが、手の届く場所で見れるから体感が凄い。思わず後ずさりしたくなるほどだった。写真も1枚では入りきらない。今回ビデオカメラを用意してきて正解。ロッキーのスケールは大きすぎて、写真では十分に表せないし、この音を伝えることが出来ないから。大自然の鼓動が、私たちの細胞にまで響いてくる。人間なんて、本当に小さな存在で、大自然の力にはとても叶わないのだと。


 駐車場に戻ったところで、別の人に尋ねてみると、あと1時間ぐらい走ったところにあるとの話。・・・ということは、ジャスパーに戻るのと、ほぼ同じくらいかな。でも、さっきの人とは話が違うし、1時間といっても実際どれくらいの距離になるのかわからない。ジャスパーに戻れば、GSがあるのは確か。でも、そのために無駄な時間とガソリンを消費することにもなる。さて、どちらを選択するのか、ここが運命の分かれ道。(笑) そこで私が選んだのは、前に進むことだった。同じ道を引き返したくない、後戻りはしたくないという気持ちがあった。リスクを負ってでも、私は今の流れを信頼して、前に進む道を選択することにした。

 そう決断して、しばらく走ったところで、GSまで100kmのサインが出てきた。イエ〜イ!(パチパチ) 後は、そこまで持つかどうかだったが、一度決めたなら信じるしかなかった。見晴らしのいいレストエリアで一息。大氷原が姿を見せ始めていた。ここには鳥さんの集団がいて、きれいな鳴き声を聴かせてくれ、私たちを和ませてくれた。


 アイスフィールドセンターに到着。コロンビア大氷原の雪上車ツアーが出ているところだ。ランチタイムも兼ねて、GSの場所を再度確認しておこう。さすが観光の名所だけあって、たくさんの人で賑わっていた。今まで見かけなかっただけに、日本人の団体が目立つこと。(笑)
 展望台のテラスで、一息ついてランチ。目の前には、325平方kmの巨大なコロンビア大氷原が広がっている。(極地以外では最大の規模) それでも、ここから見えるのは、大氷原から流れ出す氷河の末端に過ぎないらしい。ツアーでは、専用の大型バスの雪上車に乗って、氷河の上で降りて歩けるようになっている。でも、私たちは参加しないことにした。風が強くて肌寒かったし、待ち時間も長そうで、この場所からも十分に素晴らしさを感じることが出来たから。それに彼のほうは、車のことが心配で、それどころではなかった様子。(何も言葉にはしていないけど。^^) 確認してみたら、あと50kmぐらいらしい。ここまで来たら、何も考えずに進むだけ。


 走り始めたら、GSまで52kmのサインが出てきた。メーターを見ると、ほとんどゼロになっている。 運転する彼の顔を見ると、真剣そのもの。(無理もない・・・) そして、ついにレッドゾーンへ突入。給油マークのシグナルもピカピカし始めた。お〜、いよいよ来たか。う〜ん、あともう少しだよ〜、頑張れ〜。ここがプラズマXのパワーの見せ所。ガソリンが切れるのが早いか、間に合うかどうかのデッドヒート! 車の中は緊張感いっぱいで、GSのサインを見逃さないように、目を凝らしていた。1kmでも無駄に出来ない状態だから、ここでEXITを出損なったら、もうアウトなのです。(写真下 ピラミッドそっくりの山も登場していました。^^)

 そして、軍配は私たちのプラズマカーに!! そう、何とかギリギリの状態で間に合ったのです。(バンザ〜イ!) いやいや、もうスリル満点でした。(^^) その時の彼の安心した様子といったら。本当に心配な時は、言葉も出ないみたいですね。それがわかっていたので、私も敢えて口にしないようにしてたけど。(笑) ハイウエイで道は整備されているものの、周りには大自然しかなく、携帯も一切入らないところ。行き交う車は、ハイスピードで走っている。車も初めて乗ったレンタカーだから、どれだけ走るかなんてわからない。だから、後は信じるしかないのです。とは言え、私もゼロを切った時には、さすがにドキドキ。でもいざというときは、ヒッチハイクでもすれば、どうにかなると思っていたし、それはそれで面白い経験になるかもと。(笑) 旅にはハプニングがつきもので、それをどうクリアして行くか、持っている力の見せ所でもあるのですね。(^^)
 面白いことに、後でガイドブックを見たら、アサバスカ滝からジャスパーまでは、ストレートに行けば約32kmと書いてあったのです。え〜うそ〜っ!て感じ。あの時、イディス・キャベル山へ行って、すでに3時間ぐらい過ぎていたから、ジャスパーまで150kmと言われて、素直に信じていたのです。(彼の聞き間違いだったかもしれないしね) もし、その時に気付いていたら・・・!? やはり、私たちは前に進まなければ行けなかったようですね。ギリギリの状態であっても、最後まで信じること。すると、ミラクルは必ず起こるということを経験するために。
 私は途中で、祈ったり願いをかけるということは敢えてしなかった。あたふたして願いをかけるというのは、完全に信頼していないから。起こることが、全て最善であると信じられるなら、何があっても大丈夫。例え、途中で止まってしまったとしても、誰かに助けてもらったりして、いい出会いが出来たり、新しい何かを発見出来ていたなんてこともある。何がどうなっても、全て良い方向に向けて行く事は出来るのです。 自分の意識が、現実を創り出すのだから。

 それと、プラズマXの威力を体験する意味もあったようです。燃費がかなり良くなるというのは、効果の一つとして良く言われている。もし入れてなかったら、恐らく間に合ってなかったでしょう。自然界のためにしたことだったけど、発した想いはちゃんと通じていて、必要な時に返ってくる。その証明でもあったのです。体験して知ることの意味は大きい。未知の場所への旅は、その体験をさせてくれるのです。 今回も貴重な機会を与えて頂き、感謝でした☆

 ギフトショップで、柾至はペルーに役に立ちそうなカナダ版アーミーナイフとウォーターボトルを見つけてゲット。私は、カナダのシンボルでもあるエルクちゃん人形のキーホルダーを買った。(ペルーに連れて行こうかな。^^) ほっとしたところで、アイスクリームも食べちゃおう♪ 私が並んだ時は、1〜2人ぐらいしか周りにいなかったのに、いつのまにか買っている間に、私の後ろにはズラリと長い列が出来ていて、お店の人も目を白黒させていた。(^^)  カナダのアイスは、フレッシュな感じがして、また一味違うのです。(今日はプレリンクリーム) う〜ん、満足♪

 次に、ペイトレイクで降りることに。駐車場から湖までの道は、高山植物でいっぱいのMeadowになっていた。素敵な散歩道だわ〜♪ 


 10分程歩いたところに展望台があり、湖を見下ろすようになっていた。人気の高い場所のようで、展望台もいっぱい。ここでも、日本人の団体さんがやってきた。10分ほど写真をバチバチ撮ったら、慌しく出て行った。(笑) 観光バスは、展望台のすぐ横に停めるので、Meadowは見れないのよね。(観光ツアーの悲しさ・・・) 静かになったところで、雄大な景色をゆっくり眺めた。氷河から解け出る水が溜まって出来た氷河湖。氷河からの水の道まで良く見えた。水の色は、季節や天候によって色を変えるそうだ。何て美しい色なのかしら。はあ〜、ため息の連続なのでした。 

 

 ボウ峠を過ぎたところで、ボウレイクへ。駐車場に入ろうと、ハイウエイを振り返ったら、何と鹿が二頭、道路を横断しようとしていた。わ、わ〜! ちゃんと車も止まってくれていたからホッ。このハイウエイでは、時々動物が森から出てくるので、スピードを落とすようにとのサインが出ていたのです。(本当に出て来て感激〜♪)
 この湖は、ボウ川の源流にもなっていて、3つの氷河から流れる水で出来ている。ここは、ビーチのように砂浜になっていた。赤い屋根のロッジのお店もあり。水はどこまでも透き通ってきれ〜い♪ 彼は、サンダルのまま足を浸けていた。あるおじさんは、海パンになって湖の中にバシャンと飛び込んでいた。そうかと思ったら、その水の冷たさに驚いたみたいで、すぐに出て行った。(禊みた〜い。笑) 二人が遊んでいる間、私はゆっくり座って日記を書いていた。あ〜、平和で幸せな時間・・・♪
 

 この辺りから、車もどんどん増えてきた。しばらく運転してみたが、カーブも多くて、みんなスピードを出すのでドキドキだった。レイクルイーズのジャンクションの手前で交替し、広いビジターセンターで休憩。さすが観光の名所だけあって、ギフトショップからスーパーまで。裏側に周ると、きれいな小川が流れていた。
 ジャンクションを出たところで、警察に止められた。スピード違反の取調べをしていたようだ。私たちは、70kmのところを100km出していた。あちゃ〜! ドキドキしたが、次から気をつけるようにと、注意を受けただけで終わった。(ほっ) 窓から覗き込んできたポリスオフィサーは、サングラスをかけ、筋肉モリモリで雰囲気バッチリ。「かっこい〜い!」と柾至。確かに、日本のおまわりさんとは、ちょっと違ったかな。(笑) これも、ちょっとしたスリルで、楽しいハプニングでした。(^^)

 今夜の宿泊先は、バンフから20kmぐらいのキャンモア。バンフ周辺は、どこも混んでいるので、少し離れたところを選んだが、これも大正解だった。キャンモアの町は、可愛くて大きなロッジ風のホテルが並んでいる。周囲を山に囲まれて、静かで落ち着いた町並み。ビジターセンターに入って、地図をもらってからホテルを探した。私たちのホテルも、スタッフの感じが良くていい雰囲気。(料金も手頃だった。) お部屋もシンプルだけど、きれいにしている。建物の中には、インドアプールやスライダー、ホットタブもあって、自由に利用出来るようになっていた。まだ外は明るかったけれど、時間が遅かったので、食事はフルーツとスープで軽く済ませた。今日も良く歩いたし、朝から盛りだくさんの充実した一日だったなあ〜。 放映されていたT・クルーズの映画を観ながら、みんなでバタンキューなのでした。(^^)